【WYPなう】20ヶ国の共同体で、“共に生きる”を学ぶ(1) アジア学院の一日

Photo by Asian Rural Institute

 

世界各地でこれからの生き方、働き方を模索しているWYP編集メンバー4人。
【WYPなう】は、それぞれの「今」についてメンバー同士インタビューをする企画です。
今回は、IT企業を退職し、現在は栃木県那須塩原市にある学校法人「アジア学院」でボランティアとして働く近藤に話を聞きました。

 


WYP立ち上げメンバーの一人 近藤亮一は、2015年4月から、学校法人アジア学院でボランティアに従事している。外資系IT企業からNGOでのボランティアという異例の転身は、どのような思いを背景に実現されたのだろうか。(インタビュアー:鼈宮谷)
※本記事は2015年10月のインタビューを元に作成しています。

 

 

アジア学院とは?

 

– まず、アジア学院とはどんなところですか?

 

2-1Photo by Asian Rural Institute

 

簡単にいうと、農村地域の指導者・リーダーを養成する学校です。
アジアやアフリカなどの諸外国を中心に学生を受け入れていて、2015年度は19ヶ国から30名弱の学生が学んでいます。
法人格は学校法人ですが、活動内容はNGOと呼ばれる団体がしていることに非常に近いと思います。ただ、その拠点をいわゆる途上国ではなく、日本国内に持っているというのは他に類を見ない点だと思います。

 

2-3Photo by Asian Rural Institute

 

– 職員としてではなく、ボランティアとして滞在?

はい。1年間のボランティアとして、2015年の4月からここで暮らしています。
アジア学院には学生と20人ほどの職員の他、11人(2015年11月時点)のボランティアがいて、うち6人が日本人、5人は外国人です。
学生もいれば、大学を卒業してすぐ来た人、会社を辞めて来た人など、背景は様々です。
外国人のボランティアは、アメリカとドイツからそれぞれ2名、3名が来ています。

 

– 学生や職員は、共同生活を送っているんですか?

学生とボランティア、それから一部の職員が同じコミュニティ内で寝食を共にする共同生活です。
男子寮、女子寮、職員寮と分かれていて、男子寮と女子寮は基本的に2人部屋です。
私のルームメイトはアメリカ人のターナーです。
おもしろくて真面目で優しい、とてもいいやつです。

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アジア学院の一日

多国籍の人々が共同生活を送っているというアジア学院。
一体どんな一日を過ごしているのだろうか。

 

6:30 ラジオ体操

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Photo by Asian Rural Institute

 

グラウンドに集合して、みんな一緒にラジオ体操をします。
そのあとはキャンパスの掃除です。

 

 

7:00 朝のフードライフ・ワーク

5-1Photo by Asian Rural Institute

学生は4つのグループに分かれ、それぞれのグループにボランティア&職員が2、3人ずつつきます。
グループごとに、畑&お世話を担当する動物(合鴨、ぶた、ヤギ、にわとりなど)が割り当てられます。

フードライフとは、食べ物を意味するフード、それと命を意味するライフ、という言葉をくっつけたアジア学院の造語なんです。
当たり前ですけど、食べ物なしには命は支えられないですよね。
このことを深く理解するために、共同体のメンバーが全員で、食べ物をつくるための活動を毎日行っています。

 

5-2Photo by Asian Rural Institute

 

私自身も畑仕事や動物の世話をする中で、食べ物に対する考え方はかなり変わってきました。
今までは、「食べ物=お金を出して買うもの」という認識でしたが、自分たちでつくれるんだなと。
恥ずかしながら、そういう経験がほとんど無くて。
自分で種を蒔いた野菜が大きくなって、食べられるようになる。
ちょっと大げさですけど、こうやって人は生きているんだなあということを、少しだけ実感をもって理解できるようになった気がします。

 

 

8:15 朝食、休憩

フードライフ・ワークのあとは、食事当番のグループがつくったごはんを食べます。
ごはんは基本的に、白米、メインディッシュ、サイドディッシュ、スープに分けられます。
食事当番は、その日にある食材を見ながら献立を考えます。

私も当番がまわってくるので、今までいろいろ作りましたよ。
とんかつとか、野菜の天ぷらとか、季節野菜の煮物、味噌汁、チゲスープとか……。
いろいろ試しましたね。

1食あたり平均して50人ほど、多いときには100人向けの料理をつくるので、つくり甲斐があります。
自分たちでつくったものを食べるというのは、気持ちがいいですしね。
それから、スーパーには一年中同じ野菜がありますが、ここにはありません。
そういった季節感も肌で感じますね。

 

 

9:10 朝の集い(モーニング・ギャザリング)

6Photo by Asian Rural Institute

内面的なシェアをする時間です。
毎日交代制でチアパーソンという当番がいて、2〜30分くらい、自分にとって大事なことをみんなの前で話します。

たとえば、自分はどうしてここに来たのかとか、宗教観や人生観について。
コミュニティとしてお互いのことを理解し合うために行う、とても大切な時間です。
時々話しながら泣いてしまう人がいたり、笑いがおきることもあったり、しーんとした厳粛な雰囲気だったりと様々ですが、自分の深い部分の話を開示することは共通しています。
お互いのことがよくわかる、とても好きな時間です。

私は、会社員として働いていたときに大事だと思ったことや、WYPのことについて話しました。
詳しい内容は、秘密です!

 

 

10:00 午前の活動 (講義、農作業など)

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朝の集いのあと、学生は授業、職員とボランティアは運営の仕事です。
ボランティアは、職員のアシスタントという位置づけです。
アジア学院の仕事は、農作業、食事、総務、学生採用などいろんなセクションがあり、
ボランティアはどこかのセクションに所属して職員の仕事をサポートします。

私は募金・国内事業(那須セミナーハウス運営)のセクションで主に仕事をしていて、
年間700〜800人くらい訪れるゲストの方々の対応や彼らの宿泊施設にもなる那須セミナーハウスという場所で仕事をすることが多いです。

 

 

12:30 昼食

お昼ごはんを食べます。

ごはんのあとは、13:30から17:00まで午後の講義。17:00から18:00までフードライフ・ワークがあります。
基本は午前と同じですね。その後18:30からお楽しみの夕食です。
夕食も、皆で集まって一緒にとります。

夕食のあとは自由時間です。
各々が映画やテレビを見たり、おしゃべりしたり、遊びに行ったり、好きに過ごします。

 

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以上、アジア学院の一日でした。
全寮制、しかも学生の国籍は多岐にわたるという特殊な環境ですが、少しはイメージが伝わったでしょうか。
次回は、ここに来ようと思ったきっかけ、そしてこれからのことについて聞いてみたいと思います。