【WYPなう】新たな地域出版の形をつくる(1) 真鶴の一日

photography by MOTOKO

 


世界各地でこれからの生き方、働き方を模索しているWYP編集メンバー4人。

【WYPなう】は、それぞれの「今」についてメンバー同士インタビューをする企画です。
今回は、神奈川県 真鶴町で地域の出版事業を立ち上げようとしている、編集長 川口に話を聞きました。


 

山口県で生まれ、千葉県で育ち、東京で学び働いた川口は今、神奈川県真鶴町に移住して出版業界での起業準備を進めている。4年間勤めた都内のプロバイダー会社を退職し、出版不況と言われる時代にあえて起業しようとしている彼はなにを企んでいるのだろうか?そんな彼の企みを「起業」「出版」「地方移住」という3つの視点から暴く。
(インタビュアー:鈴木)

真鶴で、今どんな生活をしている?

 

-とりあえず簡単に、今どこでなにをしているか教えてください。

今は神奈川県真鶴という港町に暮らしながら、真鶴出版という「泊まれる出版社」(会社ではないですが)をやっています。主に出版事業と宿泊業、その他にも町のための活動をしています。

 

-「出版事業」とは、具体的になにをしているんですか?

まだ立ち上げ途中ですが、これからやりたいと思っていることは、「ローカルのための出版物」と「グローバルのための出版物」の2つですね。

 

-その事業計画を少しだけ聞いてしまってもいいですか?

「ローカルのための出版物」としては、都内書店に向けた、真鶴の小旅行向け地図を作成しました。
真鶴は都会から1時間半、自然が多くて小旅行にぴったりなんですが、今は都会の人にほとんど知名度がありません。
それにパンフレットも町の観光協会がつくったものなどに限られています。
都会の、とくに書店に行くような感度が高い人に魅力的に映るような出版物を作りたいと思っています。

そしてそれだけではなくて、真鶴町内限定の出版物なども作れたらなと思っています。
「グローバルのための出版物」としては、まだまだ計画段階ですが、WYPで海外向けに販売した経験を生かし、日本食をテーマに作れないかと思っています。

-では、宿泊業とはどんなものですか?

Airbnbを通して今住んでいる平屋の一部屋を貸し出しています。民泊に関して、これから法律も変わっていくのでいろいろ悩んだのですが、現状の旅館業の免許も取得しました。まだまだ真鶴は知名度が他の観光地と比べると低いです。出版業で町をPRし、宿泊業で実際に受け入れまで行う。そういうことをやりたいと思っています。

-なるほど、面白そう。ほかに今取り組んでいる活動はありますか?

主なものとしては、もう一つが真鶴町のための活動ですね。
去年は移住促進事業に関して委託契約をしてもらい、企画やHPの制作をしています。
本当に委託してもらえるかわからない中でイベントを企画したりして、ようやく締結できたので嬉しかったですね。

それ以外にも、今はまだ生活が成り立っていないのでいろいろやっていますよ。
ホームページの制作だったり、友達の会社の仕事を手伝ったり。

 

どんな一日を過ごしているのか?

都内と違ってゆったりとした雰囲気が流れているイメージの地方での暮らし。
実際はどうなのか、一日のスケジュールを聞いてみました。

 

8:00 起床

最近、朝起きたらまず掃除とか草むしりをするのが習慣になっているんです。
すっきりと1日を始められるのでおすすめですよ!
そのあとに朝ごはんをつくるんですけど、少しずつ食材を自分たちでつくるようにしています。
今のところ、ヨーグルトとパンが自家製です。

自家製パン(ごめんパンだけ)

 

 

9:30 仕事開始

情報センター外観

基本的にいつも、家か、町の公共施設である情報センターに行って作業しています。
そこには図書館とかが入っていて、フリーwifiのある勉強部屋があります。
1階ではよく小学生がゲームしてますけどね(笑)

 

12:00 昼食

ひき肉と自家製ほうれん草のパスタ

一旦家に戻って昼食をつくります。基本はパスタですね。
真鶴に来る前、約半年間語学留学のためにフィリピンに住んでいたんですけど、そこでもよくパスタをつくっていたので、正直パスタレベルは相当上がっています。

 

13:30 仕事再開

家で仕事中

情報センターに戻るか、もしくはそのまま家で仕事することもあります。
仕事の打ち合わせへ出かけることもよくあります。
例えば先日は真鶴のデザイナーとの打ち合わせがありました。
あとは、町の活動について話し合うために役場の人と打ち合わせすることもあります。

 

18:00 仕事終了、夕飯準備

ひもの

和食をつくることが多いです。
真鶴は港町だから、地元の港でとれた魚はとても新鮮で美味しいんですよ。
干物なんか絶品なんです。
近所に明治時代からやっている干物屋があって、そこの干物が最高。
特に高価なわけではないんですけど、お祝いごとのときにはそこの干物を食べるようにしているぐらい、干物が特別な存在になりました笑。

ちなみにうちのトイレは水洗ではあるんですが、下水道がなく、汲み取り式なんです。
当初は業者さんに2週間に1回回収に来てもらってたんですけど、毎回500円ぐらいかかるので、今は月1回にしています。
ただ、回収日の前日なんかは溢れそうで毎月ヒヤヒヤしています。

 

22:30 布団に入る

会社員時代に挫折した『21世紀の歴史』も読破できました

布団に入って、本を読みます。
都内での会社員時代は本を読まなくなってしまっていたんですけど、ここに移住してからはまた読むようになりました。
人間らしい生活が取り戻せている気がします。

 

23:00 就寝

だいたい23時頃にいつも寝るようにしているんですけど、たまにこの時間にデザイナーの人とか外部の人とスカイプで仕事の打ち合わせをすることがあります。
そうなるとどうしても、生活が乱れてしますんですよね(笑)
都内で暮らしていた頃と比べるとだいぶ生活が変わったな、と実感しています。

 

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以上、真鶴での一日の過ごし方でした。
次回は、「なぜ会社を辞めて真鶴に来たか?」を掘り下げて聞いていきます。
どうぞお楽しみに!