【WYPなう】新たな地域出版の形をつくる(2) 「自分の力で生きていく」に至るまで
Photography by MOTOKO
世界各地でこれからの生き方、働き方を模索しているWYP編集メンバー4人。 ▼前回の記事はこちら▼
「自分の力で生きていきたい」という思い
フィリピン・バギオにて。街は若者であふれ、新興国の勢いを感じさせる。
– まず簡単に、東京の会社を辞めてから真鶴にいたるまでの経緯を教えてください。
2014年の6月に会社を辞めたあと、まずはフィリピンのバギオというところに8ヶ月の語学留学に行きました。 その間に考えていたのは、日本に帰ったら東京ではなくどこか地方に移住しようということです。
– なるほど。そもそも会社を辞めた理由はなんだったのでしょうか?
なんというか、自分の中ではすごく自然な流れだったんです。 あとは大学4年次にやった、SPBS(SHIBUYA PUBLISHING & BOOK SELLERS)でのインターンですね。まだ立ち上げ時のSPBSの空気を感じられて、代表の福井さんとほぼ毎日一緒に昼食を食べていたことは、かなり影響を受けていると思います。
当時川口が企画したFREITAG POP UP STORE at SPBSと広告営業・編集に関わったROCKS Vol.6。Photography by akihiko kanke
それで「いつかは会社に頼らずに自分の力で生きられるようになりたい」と思い始めて、働き出した後もその気持ちを忘れないようにとWYPの活動を始めました。
– WYPの活動を通して「自分の力で生きたい」という気持ちが強くなったのはなぜですか?
インド特集0号では、国境関係なく物事を考えるインドの若者に出会うことで、これからの世界で生きられるようになるには、自分もそう考えるべきだ、そうならないとまずいんじゃないかと考えるようになりました。 2011年8月のインド取材中の一枚。(写真左:川口、右:近藤)日本特集0.5号では、会社に勤めていない人たちを中心に取材しました。 0.5号での写真家下屋敷和文氏へのインタビュー(写真右が川口)– その中でも“出版”で生きたいという思いが強くなったのはなぜですか?
いくつか理由はあって、一つはWYPでの出版活動が楽しかったからですね。 あとは、自分たちでつくった雑誌が売れたことや、渋谷ヒカリエ内のaiimaという場所での展示(「働く合間に雑誌をつくる」展)の成功が自信につながったというのが大きかったですね。 天の邪鬼なので、みんながITって言ってると、逆に紙ものをやりたくなったというところもあるし、せっかくSPBSで出版、本に出会って、そこから続けることもできたのは、何かの縁かなと。
バギオで住んでいたゲストハウスTALA語学学校卒業時の一枚– フィリピンへ語学留学に行った理由はなんだったんでしょうか?
英語を勉強したいと思っていたところに、ちょうどパートナーの來住がバギオのNGOで働くことになったので、一緒に行こうと決めたんです。バギオは英語学校が多いことで有名なところだったんです。
– なぜ英語を?
インド取材の経験から、「自分の力で生きていく」上で、日本だけでなく海外でも生きていけるようにならないといけないと思っていたからです。
縁が引き寄せた真鶴との出会い
神奈川県真鶴町。いつも空と海が広がっている。– バギオでの語学留学を経て、いよいよ真鶴への移住を開始したとのことだったんですが、真鶴のことを知ったきっかけを教えてもらえますか?
フィリピンから日本へ帰国する2日前、もともと知り合いであり、地方で積極的に活動されてる写真家のMOTOKOさんとスカイプをしたんです。
– 2日後!実際見に行った時はどんな印象を抱いたんですか?
うまく表現できないんですけど、なんというか、「文学好きな人が好みそうな感じ」がしたんです。
– なるほど、それでその後、真鶴に移住することを決めたんですよね?
真鶴町が企画した2週間のお試し暮らしを経て、正式に真鶴に住むことを決めました。
会社を辞めて2年の今、思うこと。真鶴、三ツ石海岸にて。 Photography by kazufumi shimoyashiki– 「自分の力で生きたい」という思いから会社を辞めてから2年弱経った今、その思いは実現できていると思いますか?
実現……という意味では、まだまだ「自分の力で生きられる」と胸を張って言えないので実現できていないですね。 会社にいたときは、大きな船に乗客していて、そこから大海に飛び降りようかどうかと悩んでいました。
– 地方移住、そして起業を半年間経験してきてなにか気づいたことはありますか?
会社を辞めたあと、フィリピンでもヨーロッパでも真鶴でも他の地方でも、いろんな人に出会った結果、自分の思っていた以上に“先を進んでいる人たち”がたくさんいたんです。自分は“出遅れたな”と思うくらい。 彼らは自分よりもずっと前に東京から離れていて、海外に行ったり地方に行ったり、それぞれの土地で面白いことを始めている。 東京を無視して面白いことをどんどん進めている彼らのコミュニティを見て、とてもワクワクしました。
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