『パール判事の日本無罪論』
最近私に会ったほとんどの人が聞いたことのある台詞だと思う。 彼の本名はラダ・ビノード・パール。 極東国際軍事裁判にて、戦勝国十一人の判事のうちただ一人、この裁判は勝者が敗者を一方的に裁いた国際法にも違反する非法・不法の復讐のプロパガンダに過ぎないとして、被告全員の無罪を判決したインド人だ。 彼はなぜ、67歳にして、カルカッタ大学総長の職を辞してまで日本にやってきたのか? 彼はなぜ、二年半もの間、調査に調査を重ね、四万五千部もの文献と三千冊もの参考図書を読破したのだろうか? 彼の判決文はなぜ、英文にして千百七十五ページ、日本語にして百万語にも及び、後に世紀の大判決文とまで呼ばれるのだろうか?
彼が強く強く求めた「正義」に、一人の日本人として、一人の人間として、心が震えた。
そして、この本にはもう一人の影の主人公がいる。彼らの名前は田中正明。本書の著者である。 冒頭にある「推薦のことば」にて、小林よしのり氏はこう語っている。
これだけの強い気持ちに、純粋に、応えたいと思った。 それは、そのまま賛同するという意味ではない。 彼の問うたものに向き合うという事。 思考を停止しない事。 世間の流れにのみ込まれてしまわないという事。
齢80歳の高齢、前年に胆石の手術を受けたばかりの身で、昭和41年、パール氏は四度目の訪日をした。滞在最後の夜に「おわかれパーティー」と称された会で行った、日本での最後のスピーチから一節を取り上げて、終わりにしたいと思う。
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