インド現地取材日記2日目(9/18)

海に向かうその車には、10人もの若者が乗っていた。

もちろん定員はとっくにオーバーしている。なにせ車が6人乗りだからだ。

11歳から28歳までを、助手席に2人、荷物入れに3人無理やり詰め込んでいる。お気に入りのインドミュージックを大音量で聞きながら、相変わらずのはちゃめちゃな運転で向かっていた。

これだけなら混沌の国インドのよくある光景。

いつもと違うのは、この車に日本人が3人混ざっていることだ。

前日に卓球(カンフー)をして仲を深めた僕たちには、全くといって不安はなかった。

あるのは不思議な、本当に不思議な高揚感と連帯感だ。

中学生だか高校生の頃誰もが感じたことのある、友達みんなでどこか遠くに向かっている(それもちょっとばかり悪いことをしながら)、その時に感じていたあのわくわくした気持ちだ。

その村に日本人がくることはめったにない。

もちろん、僕たちも異国の村に顔を出すことなんてない。

出会ったのはたった一日前だ。

ラクダと犬がいるインドの海で(やっぱり汚い)、クリケットをしながら、みんなで海辺を歩きながら遊び回った。

“世界で最も混沌の国”、インド。そのほぼ正反対にあたる”整理整頓された国”、日本。

だけど、確かにそこには存在したのだ。国境の完全に取り払われた、不思議な不思議な一体感が。

夕陽は沈み、空は暗くなり、海にいた人々は帰り支度を始めた。

インド人も日本人も、帰りの車はやっぱり静かだ。

注:この日はちゃんと取材を3本やりました。

@shunkawaguchi