インド現地取材日記5日目(9/21)

Tweet

その時、男は焦っていた。

 目の前の大物ビジネスマンが僕の質問に対し軽快な英語で答えてくれている。が、なにを言っているのか半分も聞き取れない。。

 「やばい。今すごい重要なこと言ってるぽい。もっとゆっくり喋ってくださいとお願いするべきか。。てか次の質問どうしようかな。。」などを驚くほどの空回り高速回転で必死に考えていた。

3m前方でいつまでもカメラ撮影をしている近藤くんをうらめしそうに横目で見ながら。。

「てかカメラもういいから早くサポートして!!」

 

時を少し戻そう。

皆さんはFuture Groupという会社をご存じだろうか?

おそらく、インドビジネス関係者かインド在住者でなければあまり知られていないと思うが、実はインド小売最大手とされている財閥企業であり、インドを代表する大企業である。

第5日目のこの日は、そんなFuture Groupのeコマース事業を担っているグループ会社FutureBazaar.comのvice presidentであるZishaanさんへのインタビューに臨んだ日であった。

きっかけはfacebook上でのやり取りだった。

正体不明の日本人から突然インタビューさせてほしい(!)とメッセージがきて、間違いなく戸惑っただろうが、快くOkしてくれたZishaanさんの驚異的な心の深さから今回のインタビューは実現した。

Zishaanさんのオフィス近くに約束時間の2時間前に到着し、インタビュー内容の再確認しながら徐々に高まっていく緊張感。

正直、緊張及び不安になる要素はたくさんあった。

事前に下見したオフィスビルは日本の1流企業のそれとも劣らないほどの立派さであったこと、しかも相手は副社長であったこと、いまさらながら英語力、そして周りが皆カジュアルスーツ姿なのに対し自分たちだけがなぜかTシャツ・短パン・サンダルというギャップ。。

そして待ち合わせ5分前にメンバー近藤くんと2人でオフィスの受付に一歩一歩近づくごとにさらに高まるその緊張感は増していった。

ふと、この緊張感は学生時代にやっていたテニスのダブルスで大事な試合に臨む前にペアとともに感じる緊張感と似ているな、と思った(本来なら3人いるはずなのだが、この時編集長川口くんは僕が宿に置き忘れてしまった日本からの手土産「鳩サブレ」を全速力で取りに戻ってくれていた)。

そんな緊張感の中、受付で指示されたソファに座って待っている時のちょっと見た目怖めの守衛さんとの以下のちょっとしたやり取りが僕をちょっぴり救ってくれた。

守衛さん『お前の名前は?』

僕『SUZUKIです、あの自動車の』

守衛さん『あぁ、あの自動車のSUZUKIね(笑顔)』

というインドではもう何度も経験してきたやり取り(自動車のSUZUKIという自己紹介に対し確実に笑顔になってくれる)だったが、そんなやり取りがこの時の僕を不思議と落ち着かせてくれた。

その後まもなく素敵な笑顔とともにZishaanさんが出迎えてくれたのであった。

そしてインタビュー中も終始気遣いを見せてくれたZishaanさんのおかげで自分たちの英語力不足に苦しみながらもなんとか予定していた質問をすべて聞き終え、無事インタビューは終了した。

詳しくは雑誌の記事に書くつもりだが、ZishaanさんはIIT卒業後にコンサル会社等での勤務を経て、その後起業をして成功している経験があるアントレプレナーシップに富んだ人で、確実に今後のインド経済成長に大きな役割を果たす、という印象がした。

その経験談も含め非常に興味深い話を聞くことができたので、インタビュー中にも何度も携帯が鳴ってとても忙しいはずにも関わらず1時間半も時間を割いてくれた彼のためにも、このインタビュー記事をしっかりと雑誌にして少しでも多くの若者に伝えたいと思う。

@sssyoshi