『TRANSIT 12号』

「インドが呼んでますよ」

というprologueから始まる今回の『TRANSIT』のタイトルは「美しきインドに呼ばれて」だ。

いまや中国に続く発展国として世界から大注目されているインド。

今回WYPでインド特集をやるにあたっての勉強資料として同国に関する書籍を毎月読むことになっているのだが、注目度の割には意外とインドについての書籍は少ないなぁと感じていた。(特に情報が古い書籍が多い)

そんな中で出会ったのが本誌だ。

本誌の主な構成として、前半部ではインド各地の様子、旅の記録を写真を贅沢に使って紹介し、あらゆる角度から「インド」を映し出している。

そして後半部ではヒンドゥー教とはどんなものか?という特集から始まり、インドに関する映画・名言など文化、人口等の様々な情報について紹介している。

インドを語る上で欠かせないヒンドゥー教についての特集は特に興味深かった。

「漫画で読む☆インド神話」では一見とっつきづらそうなインド神話について漫画形式で面白おかしく紹介してくれている。

例えば…美青年な神様クリシュナはモテモテで略奪婚・浮気などやりたい放題。牛飼い女たちが水浴びしている間彼女たちの服を盗み笛を吹いて踊らせていたらしい。しかもその女たちは仕事をさぼってそうやってクリシュナと遊んでいても神様に献身しているということで周りから叱られるどころか徳を積むことになるそうだ。

ちなみに、本誌には先月死亡が報道されたサイババの特集もある。

子供の頃にテレビで見た記憶があるサイババ、多くのインド人に絶大なる影響力を持っていた故人に一度は会ってみたかったなぁ、と少し思った。。

また、日本人からしたら一見みんな同じように見えてしまうインド人だが、民族によって違いがあるようだ。例えば民族比率のほぼ9割を占めるのがアーリア人(75%)とドラヴィダ人(23%)なのだが、北にはアーリア人、南にはドラヴィダ人が多く、ドラヴィダ人のほうが肌が黒いとされ、南にいくほど顕著なのだそうだ(今度インドに行って各地で出会うインド人がそれぞれ何民族なのか、という視点で見るのもおもしろそうだ)。

とまぁ、美しい写真を眺めているだけでも十分楽しめ、かつ、インドの歴史についてイラストつきで時系列に説明した年表もあったりして気軽に楽しくインドの勉強ができる一冊なのでインドに興味がある人はもちろん、興味ない人でもぜひ一読してみる価値があると思う。

巻末の編集後記にはこうある。

「お腹を壊し、ぼったくられ、騙されようと、旅人たちはなぜインドへ向かうのでしょうか。その答えはここまで読んでいただけたのならもうおわかりのはず」

答えを知りたい方、ご一読を。